SUP電動ポンプの修理(圧縮できない編)
今回、弊社のSUP電動ポンプ電動エアポンプ 12V 自動停止 インフレータブル製品用 GLD0067MJ193Fで圧縮空気が送られない不具合を修理しました。
1.不具合品の送付
作業の前にお客様に想定される修理と、費用はお伝えして当社に送付していただきます。こちらへ送付する場合にお客様側に送料の負担が生じますのでホースなどの付属品は送らないで本体だけを送っていただいています。
2.不具合の確認
真っ先に行うのは、お客様から伝えられた不具合の再現で、当社では長さが40cmのミニSUPと、自動車のシガーライターを家庭用のコンセントから12Vに変換して供給するアダプターを使用します。
今回、1.2psiから圧縮モードにはなるが一向に圧縮空気が送られないとのことでした。症状から電源系統にには異常が見られなかったため、当初の予想通り、ピストンリングが摩耗、もしくは破断していると推定されました。
3.分解し不具合想定個所の確認
本体の外装ケースを外し、ポンプ本体を取り出しまして、圧縮空気を生成するピストンをシリンダーから取り出します。
次の写真は破断したピストンリングです。
こちらは新品のピストンリングです。
新品の写真からお判りのように、本来は2重リングが一体となっていて、故障した製品のリングは、内側のリングが破断して取れてしまっていました。
4.お見積もりを連絡(予想より修理費用がかかる場合)
今回は事前に修理費用の予想と、修理できなかった場合のご提案をさせていただきました。幸い、最低の費用で修理が可能でしたのでこのまま修理を続行しました。
シーズン最初は久々に動作させたら不具合が出たということが多く、しかも、週末に使用したいという方が多くいらしゃいます。できる限り速やかに修理を終えて返却するため、夜遅い時間まで修理をしていることが多いです。
当社としても、シーズン中に使えないのは意味がないと思い、可能な限りの時間まで対応させていただいています。
5.部品の交換、組付け
部品の交換はさほど難しくはありません。ゴムのリングを交換するだけですが、シリンダー内に特殊なグリースを塗って、組付けるところは大変慎重に行っています。ねじの締める順番と締め付け強度もチェックしながらとなります。
6.動作チェック
外装を取り付ける前に、裸のポンプで空気を入れてみます。ここで不具合がなければ修理の9割は終了です。
7.組み上げ
外装ケースにポンプを収めて、最終的にポンプを稼働させます。
無事に動きましたので、これから丁寧に梱包して返送をいたします。
この修理については、だいたい2,000円ほどで行っています。また、修理箇所で不具合が生じた場合は、お客様のお手元に修理品が到着してから6か月間は保証対象とさせていただいています。
原因については、お客様がどのように使用したのか把握することができないため何とも言えませんが、やはり連続使用によるリングの過熱での破断、摩耗による圧縮漏れです。
とにかくSUP1本に空気を充填したら、冷却時間を空けることが長持ちのコツです。
リングの摩耗は、使用期間ではなく、使用本数が多ければ避けられない問題ですのであまりに回数の多い方は年に1回オフシーズンに、グリースの補充を兼ねて点検に出されるのがいいかもしれません。
<